おりがみ歴

2006.01

図書館のカウンターに司書さんが折った伝承の「ゆきうさぎ」が飾られていた。紙の表裏の色の違いを耳のデザインに取り込んでいるところが記憶に鮮明に残る作品で、折り紙でこんなことができるのかと初めて折り紙の可能性を意識したことを覚えている。

2006.02-09

国内外の折り紙本をいろいろ折る。海外本で入手が面倒なものはあきらめる。やはり展開図は自分自身の手で描くに限る。完成形をイメージしながら考えに考え抜いて汚い油汗流しながら涼しい線を引くのが創作折り紙の醍醐味の一つと言えよう。

2006.10

はじめての創作「なめくじ」。まだ設計ではなく、基本形を崩したりして作る。 

2007.01

一応設計らしきことをし、創作を楽しんでいる。

2007.03

ホームページ開設。

 2008.10

某ラジオ番組のプレゼンターの方が当サイトを訪問された。そして番組の生放送で作品の感想をお話くださった。とくにペケガエルと虫たちが印象に残られたとのことである。

2010.08

折り紙の作業の際にはよくバッハを聴いている。彼の作品群をいろいろ聴いた結果、中でも「無伴奏チェロ組曲 BWV1007-1012」をかけると作業能率が格段に上がった。チェリストはヴィルトゥオーゾの中でもカザルス、ビルスマ、シュタルケルあたりがいいと思っている。バッハと和・洋菓子の摂取及びそれらのインタラクションによって私の創作に対する精神的ROIは最大化されるのである。

2011.03-04

東北地方の想像を絶する惨状に比べると私の居住地域は被災していないに等しいと言えるだろう。しかし本震と度重なる余震によって私の居住地域もやはり少なからず被害が出たもようである。私の家からざっと見渡すことができる範囲内でも屋根瓦が一部崩落した家屋、ブロック塀が一部倒壊した家屋などが数棟見受けられる。

私は折り紙作品を高さ約170センチ、前面扉及び側面がガラス張りのショーケースに入れて管理している。ガラス張りということで地震には日頃から敏感になっており転倒防止のチェーンを数本装着させている。今回それらが奏功し転倒は免れたが、ガラス扉は鍵なしの観音開きであったため中の作品はほとんどすべて外へ投げ出されてしまった。

HPに掲載している折り紙作品の三毛猫が震災直後から見当たらなくなった。数日後他の散乱物の下から発見されたが、一見して修復不能と判断できたのでそのまま廃棄してしまった。その他の作品は概ね良好な状態を保っているが、余震によってすぐにかき乱されるので整然と並べる決断は今のところまだできないでいる。

2012.03 早朝 空模様が気になり外を眺める
朝陽によって金糸雀(カナリア)色に染め上げられた雲々の美しさに私は思わず目を閉じゆっくりと深呼吸をする あたかも光の中から荘厳な雰囲気漂う金管アンサンブルが響いてくるようだ

抜けるような青空と墨をぶちまけたかのような絶望とが記憶のシステムによって渦を描きながら時間の中へと溶けていく

地球のリズムは今後もさほど変わることはないだろう

真っ暗な夜空に私は紙の一折りを通じてほんの少しずつでもいいから光を灯していきたいのだ

いつか満天の星空となるよう願いを込めて
2016.05 若冲展に行こうと早々に前売り券を購入していたが、
あまりの混雑ぶりに行くことを断念する。

私はじっと眺めている・・・

「孔雀鳳凰図」の一対の軸を見て今後の作品のヒントを得たり、
イメージを膨らませようと思っていたが残念である。
私にはあの行列で数時間も待つ自信がなかったのだ。

眺めてホッとできるのは家の裏手にできた蟻の行列だけである。
私は彼らをじっと眺めている・・・ただただ・・・じっと眺めている・・・